最終回では、HOGETペーパーには載せることのできなかったこぼれ話をご紹介します。
ホゲット石鍋製作遺跡へ向かう道中では、「猪垣(ししがき)」を見ることができます。
猪垣とは、その名の通り、田畑の作物をイノシシやシカから守るため、約300年前に築造された石垣のこと。西彼杵半島の中央に縦に連なる山々を取り囲む猪垣は、なんと全長70km以上(!)に及びます。
ホゲット石鍋製作遺跡の第6工房は、西暦1000年前後の遺跡であると、科学的に証明されています。でも、どうやってその年代が特定できたの? その秘密は、松尾さんが鎌で示す(笑)、この発掘跡の中に。
松尾さん ここに、昔の人々が「たき火」をした跡が残っていたんですよ。その炭化物(炭)の年代測定をしたところ、西暦1035年(前後70年)と970年(前後100年)頃のものであると判明したんです。
ちなみにこの、炭による年代測定。「どのくらいの量の炭が残っていれば、年代測定ができると思います?」と松尾さんからクイズが…(笑)。どうでしょう、みなさん、わかりますか?
① 手のひら一杯くらい
② スプーン一杯くらい
③ 耳かき一杯くらい
正解は…… ③耳かき一杯くらい !ほんの少しの営みの痕跡で、年代がわかるなんてオモシロイですね!
石鍋にまつわる遺跡の名前は、そのままそのあたりの地名や通称、「字(あざ)」から付けられていることが多いそう。逆に言えば、滑石の色である「白」という文字が入っていたり、石や鉱山、採掘に関係しそうな言葉などが入っている地名から、「このあたりに遺跡があるかも」と推測することもできるのだとか。
ちなみに「ホゲット」の場合は、方言で「穴があく、穴をあける」ことを「ほげる」「ほがす」ということ。また、穴や洞のことを「とう」ということから、「ホゲットウ」「ホゲット」と呼ばれるようになったと考えられるそう。
一度は訪れてほしい、「ホゲット石鍋製作遺跡」。わかりにくい山道のため、初めて訪れる際はガイドをつけた方が確実です。ガイドについては、私どもHOGETでも、ご紹介やおつなぎをさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
※現在、遺跡周辺に崩落の危険性があるため、立ち入りが禁止されているそうです。